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「喫茶去!」 その1 [そのほか]

お茶をどうぞ  挿絵 

「喫茶去」(きっさこ)という言葉。

「去」は助字で別に意味はないので、

「お茶を召しあがれ」という意味の言葉で、

茶掛や色紙などによく書かれる有名な言葉ですが、

実は「趙州喫茶去」といって、禅門ではやかましい公案

(参禅者に示して坐禅工夫させる課題)。

趙州從諗という人は、今から千百年も前、中国は唐の

時代の禅の巨匠ですが、この趙州和尚、訪ねて来た坊さんに、

「曽つて此間に到るや」(前にここに来たことがありますか?)

と、たずね、坊さんが、

「曽つて到る」(ハイ、ございます)

と答えると、趙州和尚、

「喫茶去」(そうか、じゃお茶を一服どうぞ!)

と言いました。

次にまた一人の坊さんがやって来ました。

趙州和尚、前と同じように、

「曽つて此間に到るや」

と、たずね、その坊さんが、

「曽つて到らず」(いいえ、はじめて参りました)

と答えると、趙州和尚、前と全く同じように、

「喫茶去」。

前に来たことのある者に対しても、はじめて来た者に

対しても、ひとしく「喫茶去」と言ったことに不審を抱いた

院主(寺院の事務を掌る役僧)が、たずねました。

「和尚、尋常、僧に問う。曽つて到ると到らざると、

総に喫茶去と、意旨如何」
   

(方丈さまに、ここへ来たことがあるといっても、来たことが

ないといっても、一様に、お茶をおあがり、といわれますが、

それはどういうわけですか)

と。

すると趙州和尚、その意味には何も答えず、

「院主さん!」

と呼びました。院主がつられて、

「ハイ!」

と返事すると、趙州和尚、言下に言いました。

「喫茶去!」


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